先日、夜自宅で娘と家内と私を含め3人で夕食を食べながらテレビを見ていると、放送の中で結婚式の様子が画面に出ていた。花婿が花嫁に結婚指輪を交わしていところだった。その場面を皆で見ていたら娘が突然、お父さんとお母さんも結婚指輪交換したのと聞いてきた。私は黙っていたが家内が「そうよ、交換したよ」と言いながら何やらヒソヒソ話をしていた。すると急に家内が立ち上がり寝室のほうに行き、しばらくして家内が帰って来たなと思った時、手には遠い昔に見たことがある白い箱があった。私は急に背中に寒気を感じた。案の定27年前の結婚指輪を入れた箱だった。家内は大事そうに箱を開け娘に見せていた、娘は指輪を手に取り「お父さん手に付けてみて」と私に指輪を渡した。27年前の指輪だから入るかなと言いつつ薬指に入れてみたら何も違和感なくスルリと入つて見せた。それを見た娘は私が恐れていた事を口に出した「お母さんも付けてみて」と…家内は始め嫌がっていたが暫くしたら何やら娘と私に見えない所でコソコソしていた。ところが数秒後2人の大笑いしている声が鳴り響いた。娘も家内も目に涙をためて笑い泣きしている。よく見ると妻の左手の薬指には第一関節で止まっている指輪が見えた。チュウブラリンの指輪は先にも行けず後すざりもできぬ状態で苦しそうに薬指に止まっている。私も思ってはいたが笑わずにはおられず3人で暫く笑い続けた。その後娘が家内に「お母さん太ったね」と言ったら家内はすかさず、「いいえ、関節の骨が大きくなっただけ」と訳の解らない会話が聞こえていた。
*追伸・・・お母さんの名誉のために言っときますが、27年前の結婚式の時には
少々入りにくくはあったが間違いなく指には入りました。
今週の私の好きな詩・・・にんげんだもの。
(相田みつを作品集、ヨリ)