私にはもうすぐ13回忌を迎える祖母がいた。賢く、何でも出来て、私にはスーパーマン的存在のおばあちゃんだった。今何を祖母の話かと言うと、先日、家内との夕食の時、珍しく食卓に梅干しの入った小瓶が出ていた。スッパイ食べ物が嫌いな家内なので家ではあまり出ない。家内に聞いたところ、昨日夢におばあちゃんが出て来て、いろんな事を考えていたら以前教えてもらった「梅干しの歌」を思い出し梅干を出してみたと。私が小さい頃、自宅で祖母が梅干しを漬ける時によく歌っていたのを思い出す。家内にその歌を覚えているかと聞いたら、以前教えてもらつた時書き写した手帳を探し出したよ!と見せてくれた。懐かしく思い、皆様にも御披露目いたします。明治、大正、昭和、平成を生き抜いて逝った女性から聞かされていた「梅干しの歌」です。数え歌調になっていますので、口ずさんでください。祖母も喜びます。
「梅干しの歌」作詞・作曲・編曲不明・・・・2月3月花盛り、うぐいす鳴いた春の日も、楽しい時も夢のうち・・・5月6月実になれば、枝からふるい落とされて、近所の町に持ち出され、何升何合のはかり売り、元より辛いこの体、塩につかって辛くなり、しそに染まって赤くなる・・・・・7月8月暑い頃、三日三晩の土用干し、思えば辛いことばかり、それも世の為、人の為、しわは寄っても若い気で、小さい君らの仲間入り、運動会にもついてゆく、まして戦のその時は、なくてはならぬこの私・・・完。
* 今週の私の好きな詩・・・生きているうち、はたらけるうち、日のくれぬうち。
(相田みつを作品集、ヨリ)